ある教え子との思い出

フリースクールに関わるきっかけになったのは、本当に偶然に偶然が重なってのことだったけれど、この仕事を続けていこうという気持ちになったのは、初めてボランティアに行ったフリースクールで出会った子ども達のおかげだった。そして、今日に至る。

正直フリースクールという空間でどの様に振る舞っていいのかも手探りで、とりあえずは“遊び相手”として楽しもうというのが出発点だったけど、そこから学習に関しても積極的になるきっかけとなった子がいた。

最初は、一緒に洋楽の歌詞や英語の絵本を訳す…というようなことをしていたような。

そして、半年くらい経ったある日、「おれ、試験(当時は“大検”だったと思う)受けようと思います」と彼から声をかけてくれたのをはっきりと覚えている。和訳がルーティンワークになっても「いや…試験はイイッス」と言っていたはずが、休み明けか何かに急に「試験を受ける」と。ちょっとビックリしたけど、この数ヶ月間いろんなことを考えていたんだな…ということを実感した瞬間でもあった。

気持ちが向いたら即実行…と、それから週に二回1時間くらいずつ中学英語の文法のおさらいを。結構詰め込んでテストだなんだとやっていたけど、板書ノートもしっかり取っていたので、結局半年くらいで中学三年間分は終わらせられることに。

高卒認定試験を受ける子には、できたら最初は全教科を受けることを勧めている(2回目以降の受験計画が立てやすくなるから)のだけど、その子は「ミラクルが起きました!」と一発で全教科合格していた。元々たくさん本を読む子だったから、そういうところから自然と身についていたものがあったんだなぁと。

その後、大学受験準備ためにフリースクールを卒業。ぼくも違うスペースに異動になっていたのだけど、しばらくしてから「軒並み合格しているらしいよ」という知らせの通り大学生に。

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場所によって違うのかもしれないけれど、フリースクールの場合は卒業していった子がどの様に過ごしているのかを知る方法が乏しい。学校の場合だったら同級生なりが「あぁ、あいつは○○で△△してますよ」なんて望まなくても風の便りが舞うけれど、フリースクールに通ってきている子は一人ひとりそれぞれにいろんな場所から集まってきているので、卒業すると「どうしているのかな?」と思っても中々追跡できない。

それでも、たまに卒業生が遊びに来てくれたりして顔を合わせることもある。

以前、みんなで集まった時、彼もやってきた。
「あの曲、たまに弾きますよ」
“あの曲”というのは、昔一緒にギターを弾きながら作った曲のこと。文化祭なんかの時には二人で弾いたなぁと思い出したり。(この経験も、僕のその後のフリースクールの生活に大きく影響している)

こんな風に何かのきっかけがあれば集まるんだろうけど、その後は中々そのきっかけがなく、気がついたらぼくは沖縄に。

そのうちどこかで近況を知ることができるだろうと思っていたら、先日、夜中にコンタクトが来ていることに気付いた。どうやら文章を書いたりしながら仕事をしているようだ。

「あぁ、本が好きだったなぁ」とじんわり思い返し、寝返りばかりうちながら時間を過ごしたのでした。